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  • 2025/08/07 ≪HBLOコラム≫ フリーランス保護法の書面交付義務に要注意! ~実際の摘発事例をふまえて~
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西野貴紀弁護士

≪HBLOコラム≫ フリーランス保護法の書面交付義務に要注意! ~実際の摘発事例をふまえて~

2025年6月17日、フリーランス保護法の最初の摘発事例が公表されました。
注目すべきは、この事例では発注書面の交付義務違反(3条)で勧告がなされ、公表されていることです。下請法の場合には、書面交付義務違反の場合、非公表の指導がなされることはあっても、勧告の対象ではなかったことと比べると企業への影響は全く異なります。
勧告及び公表がなされると企業のレピュテーションに大きく影響が生ずることから、IPO準備中の会社はもちろん、すべての企業において、改めて書面交付漏れがないか再点検することが必須です。

 

1.実際の摘発事例

⑴ 違反行為の概要

出版社であるS社は、自らが出版している月刊誌及び週刊誌に関する原稿、写真データ、イラスト等の作成、ヘアメイクの実施等をフリーランスに対して委託していました。かかる委託に関して、191名のフリーランスに対して、フリーランス保護法上交付すべき書面を交付していませんでした(違反行為i)。
また、S社は、当該フリーランスに対して、フリーランスから成果物の給付を受領した日又は役務の提供を受けた日に報酬を支払うべきところ、これを支払っていない支払遅延があるとされました(違反行為ii)。

⑵ 勧告の概要

具体的な勧告の内容は公正取引委員会のホームページをご確認いただければと思います。

ここでは特に注目すべき勧告内容を取り上げます。
公正取引委員会は、S社に対して、「令和6年11月1日から令和7年6月17日までの間に、特定受託事業者191名に対し業務委託をした内容と同種又は類似の内容の業務委託をした特定受託事業者に係る取引について、フリーランス・事業者間取引適正化等法第3条第1項及び第4条第5項の観点から問題が生じていなかったのかを調査し、問題が認められた場合には、特定受託事業者に係る取引の適正化のために必要な措置を講ずること」との勧告をしています。

要するに、今回の摘発事例と同種又は類似の業務委託について書面交付漏れ又は支払遅延がないか調査をし、問題があれば是正せよ、との勧告がなされています。

これは下請法にはなかったもので、勧告を受けた企業は、自社内で調査を行う必要がある点で、実務的にも一定の負担が生ずるものです。

 

2.法令に違反しないための企業の対処策

⑴ 交付漏れ・記載漏れがないか再点検

自社がフリーランスに対して業務委託をしている場合には、現在書面の交付漏れがないか、また交付している書面に漏れがないか再点検しましょう。記載事項は以下のとおりです。

 

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公正取引委員会「ここからはじめるフリーランス・事業者間取引適正化等法」6頁より抜粋

⑵ 記載内容に法令違反がないか再点検

記載事項に漏れがない場合でも、記載内容に法令違反があれば、勧告の対象になってしまいます。特に、支払期日の定めに違反があるケースが散見されます。
フリーランス保護法上、支払期日は、給付を受領した日から60日以内に定める必要があります。自社の支払期日の定めが給付を受領した日から60日を超えていないかご注意ください。

⑶ 統一的なフォーマットの整備

実務的には、自社の取引がフリーランス保護法の適用を受けるか、またその取引でどこまで何を記載すれば良いかを都度確認することは現実的ではない企業も多いところです。
そのため、フリーランス保護法上必要な記載事項を網羅した統一的な発注書面のフォーマットを準備し、すべての取引で統一的にこのフォーマットを使用することが現実的な対処策です。

 

3.まとめ

フリーランス保護法では、下請法と異なり、3条書面の交付漏れによる勧告及び公表がなされます。法令上、かかる勧告及び公表があり得ることは明らかでしたが、実際に初の摘発事例が出たことで、実務上も、公正取引委員会が3条書面の交付漏れに一定の厳しい姿勢を持って対応することが明らかになりました。
この摘発事例を見て、「うちの会社も書面交付漏れや記載不備があるかもしれない」と不安に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。まずは、自社内の発注書を再点検し、統一的なフォーマットを整備することから始めましょう。
当事務所は、IPO準備企業をはじめ、多くのクライアント企業に対して、フリーランス保護法や下請法に対応した、実務で使いやすい統一的な発注書フォーマットの整備をサポートしてきました。単に法的な要件を満たすだけでなく、貴社の業務フローに合わせた効率的な運用方法もご提案いたします。
今回の摘発事例をきっかけに、改めて社内体制の整備をご検討される際は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。貴社の状況をヒアリングし、どの点に注意すべきか、今後の対応策について具体的なアドバイスをさせていただきます。お電話、またはメールにてお気軽にお問い合わせください。

 

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