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西野貴紀弁護士
≪HBLOコラム≫ SNS投稿の広告利用は要注意!~チョコザップ事件の解説~
マーケティング活動として、SNSを活用している企業は多くいると思いますが、ステマ規制の違反事例として、2024年8月9日に、RIZAP株式会社に対する措置命令(以下「チョコザップ事件」)が公表されました。
チョコザップ事件は、自社のHPに、自社が依頼して投稿してもらったSNSを抜粋して掲載する場合、自社とのタイアップ広告であること等をHP上に明確に表示する必要性が示唆された点で、今後の実務に影響のある事案です。
以下ではチョコザップ事件を紹介し、今後の実務的な対応について解説します。
1.チョコザップ事件で問題になった広告
(消費者庁HPよりhttps://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_240809_03.pdf)
チョコザップ事件において、RIZAP社は、上記のSNS投稿を自社HPに掲載していました。当該SNS投稿は、RIZAP社がインフルエンサーに依頼して投稿してもらったものでした。SNS投稿時は、以下のとおり、RIZAP社が依頼した投稿であることを表示していたものの、HP掲載時には当該記載を削除の上表示していたことが問題視されました。
(RIZAP社HPより1026_ext_05_0.pdf (kuroco-img.app))
2.チョコザップ事件に関するRIZAP社の説明
RIZAP社は、チョコザップ事件についてリリースを出し、表示の経緯について、以下のとおり説明しています。
弊社としては自社媒体であるウェブサイト上の表示であることから、一般消費者にとって当該表示内容が弊社の広告であることは判別できるものと考えていたため、「chocoZAP_official とのタイアップ投稿」等、自社広告であることを改めて明確に示す表記は抜粋せずに表示をしておりました。
結果的に、消費者庁により、RIZAP社の認識は誤りだと判断されましたが、同様に考えていた事業者も多くいたと推察されます。
今後は、自社HPにおいて、自社が抜粋したSNSの投稿を掲載する場合でも、自社が依頼した投稿であること等を明確に記載する必要があります。
3.チョコザップ事件の違反のポイントは?
チョコザップ事件では、以下の行為が問題視されました。
(1)自社が依頼して投稿してもらったSNSの投稿であることを表示しないで
(2)当該SNSの投稿を抜粋して、自社ウェブサイトに掲載したこと
チョコザップ事件をふまえると、以下の行為も同様に問題視される可能性があります。
(1)消費者が自発的に投稿した自社に好意的なSNSを抜粋して
(2)自社のウェブサイトに掲載する行為
4.違反にならないための対策は?
(1)自社が依頼して投稿してもらったSNSを紹介する広告
チョコザップ事件で問題視されたとおり、自社が依頼して投稿してもらったSNSを自社の広告に使用する場合、自社が依頼して投稿してもらった広告であることを表示しておく必要があります。
自社が依頼して投稿してもらった広告であることを表示しなかった場合、チョコザップ事件と同じく、ステマ規制違反として問題視されると考えられます。
(2)自発的に投稿された自社に好意的なSNSを紹介する広告
チョコザップ事件と異なり、消費者が自発的に自社に好意的なSNS投稿をしていた場合に、これを自社広告で使用する場合はどうでしょうか。この場合も、ステマ規制のガイドライン(別紙2 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準 (caa.go.jp))によれば、事業者が、自社に好意的なSNS投稿を抜粋して紹介していることを表示する必要があると判断される可能性があります。
自発的に投稿された自社に好意的なSNSを紹介する広告を行う場合には、当該広告において、自社に好意的なSNS投稿を抜粋して紹介していることがわかるように表示をする必要があります。
SNSを活用したマーケティング活動の重要性は増すばかりですが、同時にリスク管理の徹底が企業ブランドを守るためにも大切になってきます。当事務所では、ステマ規制を含む景品表示法全般についてのアドバイスを実施しておりますので、具体的な広告表示についてお悩みがある場合には、お問い合わせください。
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