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  • 2026/04/07 ≪HBLOコラム≫ 2026年10月1日からカスハラ対策が義務化! 「従業員を守る」ことが「義務」になります!

≪HBLOコラム≫ 2026年10月1日からカスハラ対策が義務化! 「従業員を守る」ことが「義務」になります!

2026年10月1日、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(一般的には、「労働施策総合推進法」と呼ばれます、以下「法」といいます)が改正され、事業主がカスタマーハラスメント(以下「カスハラ」といいます)への対策を講じることが法律上の義務とされます。
この機会に、カスハラ対策が事業主の義務とされることの意味、今後企業の皆様が講じるべき具体的な対策をお伝えできればと存じます。

 

1.カスハラの増加

厚生労働省は、2023年12月1日から2024年1月29日までの間、企業及び労働者を対象に「職場のハラスメントに関する実態調査」を実施しました。
調査対象企業の27.9%が過去3年間に「顧客等からの著しい迷惑行為があったとの相談を労働者から受けた」と回答しました。2020年に実施された調査から、8.4%増加しています。
カスハラの増加に対応するため、今回の法改正により事業主にカスハラ対策が義務づけられることになりました。

 

2.カスタマーハラスメントとは

まずは、法が想定しているカスハラの定義を確認しておきましょう。
法改正により、法第33条にカスハラ対策に関する規定が置かれます。同条第1項に規定されるカスハラの要素を書き出すと以下のようになります。

①職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者の言動であること
②その言動が、労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えていること
③その言動により当該労働者の就業環境が害されること

①から③の全てに該当するものがカスハラにあたります。これだけでは何がカスハラにあたるのかがわかりにくく感じてしまいますが、企業の皆様におかれましては、「要求が理不尽である」、「要求はわかるがその実現は無理だ」と感じる場合には、カスハラに該当するものとして対処しましょう。

 

3.カスハラ対策を怠ると”事業主”が責任を問われる

従業員がカスハラ被害に遭ったが、対応策を事業主が定めておらず、その従業員が精神を病んでしまったため、従業員が事業主に対して損害賠償請求をしたといった事案を想定してみてください。
法改正前であれば、事業主は、カスハラ対策を講じていなかったとしても、「カスハラ対策を行う法的な義務はなく、事業主として可能な範囲で対応していた」という反論があり得ました。
法改正後においては、事業主によるカスハラ対策が法的義務として明記されます。そのため、法律上要求されるカスハラ対策が講じられていないという事実をもって、事業主に過失があると判断される可能性は高くなります。
民事上の責任のほかにも、事業主がカスハラ対策を講じていない場合、厚生労働大臣からの勧告が行われ、これに従わない場合にはその旨を公表されてしまいます(法第42条)。厚生労働大臣からカスハラ対策の実施につき報告を求められた場合、それに応じないと罰則の対象ともなります(法第45条、第51条)。
このように、今回の改正により、カスハラ対策が義務になるということは、企業の皆様に大きな責任が生じることを意味します。

 

4.事業主が行うべきカスハラ対策

では、事業主としてカスハラ対策の義務を尽くしているといえるには、どのような対策を講じればよいのでしょうか。
事業主が講ずべき措置については、厚生労働大臣が指針を定めることとされており(改正法第33条4項、以下この指針を「本指針」といいます)、本指針においては、以下の措置を講ずべきであると定められています。

※厚生労働省リーフレットより抜粋

 

事業主が講ずべき措置は、上記の図のように大きく5つに分かれています。
それぞれの措置につき、具体的にどういった措置を講ずればよいか、その例が本指針に記載されております。
本指針は、ウェブ上に公開されておりますので、より詳細に内容を確認したい方は、こちら「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(案)について【概要】 」にアクセスしてみてください。

以下では、本指針に書かれている具体的な措置の要素をピックアップしてご紹介いたします。

 

⑴ 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

事業主の方針を明確化し、労働者に周知・啓発していると認められる例

社内報、パンフレット等に職場におけるカスタマーハラスメントには毅然とした態度で対応し労働者を保護する方針を記載し配布している

対処の内容等を定め、労働者に周知していると認められる例

顧客等への対応に関するマニュアル等に、職場におけるカスタマーハラスメントの内容及び職場におけるカスタマーハラスメントへの対処の内容を記載し労働者に周知している

 

⑵ 相談体制の整備

相談窓口をあらかじめ定めていると認められる例

相談に対応する担当者をあらかじめ定めている

相談窓口担当者が適切に対応することができるようにしていると認められる例

担当者があらかじめ作成されたマニュアルに基づき対応している

 

⑶ 事後の迅速かつ適切な対応

事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認していると認められる例

・ 相談窓口の担当者等が相談者から事実関係を確認している
・ 相談者の心身の状況等に適切に配慮している

被害者に対する配慮のための措置を適正に行っていると認められる例

・ 事案の内容や状況に応じ対応する担当者の変更又は複数人で対応している
・ 被害者と行為者を引き離すための配置転換をしている
・ 被害者のメンタルヘルス不調への相談対応等の措置を講じている
・ 犯罪に該当し得る言動について警察へ通報する
・ 法的な手続について法務部門等と連携し、弁護士へ相談する

再発防止に向けた措置を講じていると認められる例

職場におけるカスタマーハラスメントの発生を契機として、職場におけるカスタマーハラスメントの原因や背景が把握された場合に、その問題の改善を図っている

 

⑷ 対応の実効性を確保するために必要なカスハラ抑止のための措置

特に悪質と考えられるカスハラへの対処方針をあらかじめ定め、労働者に周知し、当該対処を行うことができる体制を整備していると認められる例

・ 職場におけるカスタマーハラスメントのうち、特に悪質と考えられるものへの対処方針を定め、労働者に対して周知している
・ 当該対処を講ずることができるよう関係部門間の連携等の体制を整備している

 

⑸ そのほか併せて講ずべき措置

相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていると認められる例

・ 相談者等のプライバシー保護のために必要な事項をあらかじめマニュアルに定めている
・ 担当者が当該マニュアルに基づき対応している

相談したこと等を理由として不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発することについて措置を講じていると認められる例

就業規則等において、カスタマーハラスメントの相談等を理由として、労働者が解雇等の不利益な取扱いをされない旨を規定し、労働者に周知・啓発をしている

 

5.カスハラ対策による従業員の保護

今回の法改正により、事業主に求められるカスハラ対策は事業主自身の責任を問われかねない重要な事項となりました。これまでも厚生労働省の「カスタマー・ハラスメント対策企業マニュアル」の発行や東京都カスタマー・ハラスメント防止条例の制定など、カスハラに関する社会的な動きはありましたが、今回ついに一大トピックとなった印象です。
企業の皆様におかれましては、対応事項が増えてしまったと感じてしまうかもしれませんが、一方で、具体的な対応方法が明示されたという点はメリットでもあると思っています。明示された対応方法を踏まえ、企業の財産である従業員をカスハラから保護すべく、今一度貴社のカスハラ対策を見直していただければと存じます。
当事務所では、カスハラに関するご相談、企業におけるカスハラ研修の実施、カスハラ対策の整備に対応させていただいております。カスハラ対策につきお悩みがございましたら、ぜひ当事務所までご相談ください。

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