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  • 2024/06/10 ≪HBLOコラム≫ 改正プロバイダ責任制限法、誹謗中傷された企業(被害者側)のメリットとは?

≪HBLOコラム≫ 改正プロバイダ責任制限法、誹謗中傷された企業(被害者側)のメリットとは?

パートナー弁護士の谷貝彰紀です。野球を始めた息子の日焼けが日に日に濃くなってきました。子どもの成長に目を細めつつも、自分の運動不足を嘆く毎日です。さて、近年インターネット上での誹謗中傷やなりすまし広告による被害が社会問題化しています。皆様の中でも、Xに匿名で「●●(会社名)は、パワハラ体質で時代錯誤。社員の半分は鬱病」、「●●(会社名)は、社長の好き嫌いだけで出世が決まる。サービス残業は当たり前でコンプライアンス欠如が甚だしい」等と誹謗中傷の投稿がなされ、サイト管理者に削除要求等をしたけれども十分に対応してもらえなかった経験はないでしょうか。

 

こうした現状に対処すべく、2024年5月10日、いわゆる改正プロバイダ責任制限法が国会で成立しました。SNS等を運営する大規模プラットフォーム事業者に対して、削除手続きの迅速化や透明化を図ることを義務付ける内容です(参考:日経新聞電子版2024年5月11日付「個人中傷やなりすまし広告、Xやメタに対応義務化」)。

 

法律名も「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」(通称:情報流通プラットフォーム対処法)へと変更されています。具体的な内容は、今後制定される総務省令を待つ部分も多いですが、以下、改正の概要をみてみましょう。

 

 

 

1 改正法の対象事業者

 

今回新たに改正されたのは、「大規模特定電気通信役務提供者」(以下、対象事業者)に対する義務付け等です。特に大規模なプラットフォーム事業者が対象とされ、Xやメタ(FACEBOOK)等は対象事業者に該当するといわれています。対象事業者の具体的な基準は今後、総務省令で定められ、総務大臣から指定されます。

 

 

2 対象事業者に求められる対応は?

 

対象事業者には、一般のサイト管理者等とは違い、次の2点について様々な義務が課されます。罰則も定められています。
・侵害情報の削除等の実施手続の迅速化
・削除等の実施状況の透明化

 

2-1 削除等の実施手続の迅速化

 

対象事業者は、次のような義務を負います。

 

■被侵害者からの申出を受け付ける方法の公表
■侵害情報に係る調査の実施
■申出者に対する通知

 

2-2 削除等の実施状況の透明化

 

対象事業者は、次のような義務を負います。

 

■削除等の実施に関する基準等の公表
■発信者に対する通知等の措置
■削除等の実施状況等の公表

 

 

3誹謗中傷された企業(被害者側)の取り得る対応は?

 

本改正によって、投稿が削除されるか否かの予測が比較的容易となり、結果として積極的に削除申請しやすくなっています。

 

3-1 投稿が削除されるか否かの予測

 

被害者側からすれば、従前と比べて以下のようなメリットがあります。
・削除等の基準が公表されるため、侵害情報が削除されるか否かの予測がしやすくなります。
・対象企業に削除すべきかの調査義務や調査結果の一定期間内の通知義務が課せられるため、申出への迅速かつ確実な対応が期待できます。

 

3-2 対象事業者へ削除申請をするには?

 

同法は、1年以内に施行されます。これまで被害に遭っても手続の煩雑さや実効性に対する疑問から泣き寝入りをしていた方々も、同法施行後は、積極的に削除要請を検討するのがよいと思います。
対応に困ることがあれば、遠慮なく当事務所にご相談ください。

 

 

まとめ

 

以上のとおり、今回の法改正により対象事業者に課せられる義務は重く、被害者側からみれば、従前に比べてかなり使い勝手の良い制度となりそうです。今回の対象事業者は大規模なプラットフォーム事業者のみに限られていますが、運用が定着すれば、対象事業者が拡大する可能性もあります。今後、総務省令の制定によりさらに内容が具体化されるので、その内容に注目です。

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