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  • 2024/05/02 お客様は神様か?”カスハラ”の事例と企業に求められる対応法

お客様は神様か?”カスハラ”の事例と企業に求められる対応法

パートナー弁護士の西野肇です。 最近は、すっかり葉桜となり、愛犬の散歩をしていても軽く汗ばむ陽気となりました。夏の気配を感じる、爽やかな季節が始まっています。さて、先日、東京都がカスタマーハラスメント(“カスハラ”)対策として、“全国初”の条例制定に向けた具体的検討に入った、とのニュースが報道されました(参考:日経新聞電子版2024年4月22日付「東京都、カスハラ条例制定へ具体行為例示の指針作成」)。条例でカスハラの定義を明確化し、「土下座の要求」、「従業員個人への攻撃」など代表的な類型をガイドラインにて示すことが議論されています。人手不足が深刻化する中で、東京都が率先して、“カスハラを認めない姿勢”を示すことは、非常に意義のあることです。では、企業においてはどうか。今回は、企業において求められるカスハラ対策について、具体的に考えていきたいと思います。


 1 “カスハラ”とは?

いわゆる“カスハラ”とは、その言葉のとおり、カスタマー(顧客)からのハラスメントの総称を指します。様々な定義付けがされていますが、“カスハラ”か否かを見極める上で重要な視点は、以下の2点です(参考:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」)

 

 

【1】顧客からの要求“内容”の妥当性
【2】当該要求を実現するための“手段(態様)”の相当性
つまり、【1】顧客からの要求内容が妥当かどうか、【2】仮に内容が妥当であるとしてもそれを実現するための手段(態様)が相当かどうか、です。

 

 

≪カスハラに該当すると考えられる事例≫
・“土下座しろ”、との要求(【1】要求内容に妥当性なし)
・購入した商品に初期不良があったために交換等を求めた際(【1】要求内容自体は妥当)、“店員を怒鳴る”、“多額の金銭を要求する”(【2】要求内容を実現するための手段が不相当)

 

 

近年では、労災の認定基準の一つに「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(≒カスハラ)が追加される等(参考:厚生労働省HP「心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました」)、企業には、より一層、“カスハラ”を防止するための対応が求められています。

 

 

2 企業に求められる“カスハラ対応”とは

これまで企業においては、パワハラやセクハラという“上司・部下”等の職場内での関係に焦点が当てられてきましたが、今後はこれらに加え、“顧客”との関係においても従業員を守る対策が求められます。このような“カスハラ対応”を考える上で特に重要な視点は、以下の3点です。


2-1
経営陣が自社でのカスハラ問題を認識すること(他人事ではない)

役員等の経営陣が、自社での“カスハラ”をしっかりと認識することが重要です。その際には、従業員へのヒアリングやアンケートを実施する等し、自社での“カスハラ”の有無、その内容をしっかりと“現場”から吸い上げることが必要です。


2-2 現場で迅速に判断できる具体性のあるルールの明文化

自社での“カスハラ”を認識した場合、 率先して“カスハラを認めない姿勢”を示し、これを“ルールに落とし込む”ことが必要です。ルールを明文化することで、従業員は“カスハラ”に毅然とした態度で対処すること可能になります。特に、ルールを定める際には、「1円でも金銭要求があった場合には会社に報告する」、「クレーム電話が15分以上続いた場合には切っても構わない」等、現場での判断が不要な文言でルールを定めることが重要です。


2
−3 既存の従業員相談窓口等を活用し、“カスハラ”に対する相談体制を構築

“ハラスメント”から従業員を守る、という視点は、これまでのパワハラ・セクハラ対応と共通しています。そのため、既に設置している従業員相談窓口等を活用して、“カスハラ”に対する相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備していくことが重要です。特に、“顧客”との関係である“カスハラ”は、現場で対応する従業員の負担が大きく、往々にして場当たり的対応になるケースが散見されます。今まで以上に、相談窓口に期待される役割は大きくなるものと考えられます。


まとめ

「お客様は神様です」との言葉は、国民的歌手の三波春夫さんが残したフレーズだそうです。その意味について三波春夫さんは、「歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払ってまっさらな、澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。ですからお客様は絶対者、神様なのです」と語っています。
顧客が何をしても許される、お客様=神様、と捉えるのは全くその真意とはかけ離れています。従業員を守り、不当な要求に応じないという“カスハラ”対策が遅れると、従業員のモチベーションが低下し、顧客に対するサービスの質の低下につながりかねません。「お客様は神様」であり、創意工夫をして最高のサービスを届けるという、従業員のモチベーションを維持するためにも、企業において“カスハラ”対応を実施することが非常に重要なのです。

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