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  • 2025/01/10 ≪HBLOコラム≫ 当社の広告は大丈夫?~No.1表示の留意点~

≪HBLOコラム≫ 当社の広告は大丈夫?~No.1表示の留意点~

「信頼度No.1」「顧客満足度No.1」「使ってみたい●●No.1」など多くの広告でいわゆる「No.1」表示がなされています。
このようなNo.1表示に関して、不適切なアンケート結果を根拠としてNo.1表示をしているとして、消費者庁に摘発されるケースが増えています。
例えば、女性向けサービスに関するNo.1表示の根拠として、調査対象者の半数以上が男性であったアンケート結果が使用されていたケースがあります。

「当社では誰かが不自然な調査結果に気が付くだろう」、「調査会社を使っていれば大丈夫だろう」、と思っていませんか?

多くの企業では、No.1表示の根拠となるアンケート調査の内容を把握しないままNo.1表示を行っています(消費者庁によれば15社中14社が具体的なアンケート内容を確認していないとの結果でした。「No.1表示に関する実態調査報告書」(以下「本報告書」)14頁)。
自社でも気が付かないうちに、不適切なアンケート結果を根拠にNo.1表示をしている可能性があります。
景品表示法に抵触するNo.1表示をしてしまった場合、優良誤認表示として措置命令・課徴金納付命令を受け、レピュテーション的にも金銭的にも重大な損失が生じます。
そこで、以下では、社内で改めてNo.1表示に問題がないか確認するにあたって役立つ実務上の留意点について事例を交えて解説します。

 

1.問題になった広告

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I社は、上記の広告を自社HPで行っていました。この広告は、あたかも、上記の広告に記載された3つの項目について、実際に利用したことがある顧客又は知見等を有する者を対象に調査をした結果、それぞれI社が第1位であったかのような印象を与える広告です。
しかし、実際には、(i)I社が提供するサービスや他の事業者が提供する同種のサービスについて実際に利用したことがあるか又は知見等を有するかを確認することなく、(ii)調査会社が任意に選定した同業他社9社とI社とを対比し、各事業者のウェブサイトの印象を問う調査を行った結果を根拠にしていたことが問題視されてしまいました。
I社もアンケート結果が根拠として不十分であることを知りながら意図してこのような広告を作成したわけではなく、アンケート結果の確認が不足していた結果、上記のような広告を掲載してしまった可能性があります。そこで、以下、改めてNo.1表示について社内でご確認いただくにあたっての注意点について解説いたします。

 

2.危ない No.1表示とは?

(1)問題視されるNo.1表示

I社のようなケースのほか、本報告書では、例えば、以下のようなNo.1表示が景品表示法上問題視されるおそれがあると指摘されています。

 

No.1 表示に関する実態調査報告書(消費者庁表示対策課

 

(i) 比較する商品の選定が不適切なケース

・同種商品のうち主要な競合商品の一部又は全部を比較対象にしないケース等

(ⅱ)調査対象者の選定が不適切なケース

・恣意的な選定を行ったケース
自社商品を継続的に購入している顧客だけを対象に調査するケース
自社従業員や関係者を対象に調査するケース
・調査対象者の属性が不適切なケース
あたかも実際の利用者にアンケートをしたかのような表示(例:「顧客満足度No.1」)をしながら、調査対象者の利用経験を確認しないケース等
※本報告書21頁の「その他の留意事項」もご一読ください。

(ⅲ)調査方法が不適切なケース

・自社に有利になるよう回答を誘導しているケース
・自社商品が1位になるまで調査を繰り返すケース
・自社商品が1位になった時点で調査を打ち切るケース等

 

(2)「利用したいサービスNo.1」は?

No.1表示のなかには「利用したいサービスNo.1」などの表現をしているケースもあります。
この場合、「利用“したい”なので実際に利用していない消費者を対象にアンケートを行っても良いのでは?」との疑問を持たれることがあります。
本報告書ではこの点にも触れています。結論として、表示の内容によっては実際の利用者に対して調査を行った結果No.1であったかのような印象を与えると考えられるため、留意が必要であるとされています。

 

(3)打消し表示をすれば大丈夫?

「顧客満足度No.1」の表示をしている広告の中には、「本調査はサイトのイメージをもとにアンケートを実施しています」「本ブランドの利用有無は聴取していません」などの注釈を記載しているケースもあります(本報告書20頁)。
しかし、本報告書によれば、これらの注釈をしても景品表示法上問題となるおそれがあるとされています。
広告を作成する際には、打消し表示をすれば大丈夫だと思わないようご注意ください。

 

3.違反しないための対策は?

(1)調査会社に頼んでいるから大丈夫だと思わない

多くの会社が、「自社は調査会社に頼んでいるから大丈夫」「調査会社は“法令遵守も担保します”と言っていたから大丈夫」と思い込み、調査会社の調査内容を確認していません。
しかし、I社においても、調査会社による調査結果を根拠に表示を行っていたにもかかわらず、景品表示法に違反するNo.1表示が行われていました。
調査会社の中にはNo.1を取得させるという結論ありきで調査を行う会社もあるとされています。
No.1を行う会社においては、こうした結論ありきの調査会社に依頼しないだけでなく、自らの目で調査結果を確認し、適切な調査が行われているか、調査結果に対応した適切な表示になっているかを確認する必要があります。

 

非公正な「No.1調査」への抗議状(一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会)

 

(2)調査結果を確認する際のポイント

まずは、きちんとアンケートの質問事項、回答結果、アンケート内容の詳細(対象者、調査期間等)の情報を調査会社から取得することが肝心です。そのうえで、2.(1)の(i)~(iii)の視点を参考に資料を確認しましょう。不自然な点があれば、遠慮なく指摘することも重要です。
例えば、自社サービスのメインターゲットが20代女性にもかかわらず、調査対象者のほとんどが男性である、「顧客満足度No.1」と記載するために満足度に関する複数の質問(顧客対応満足度、品質満足度など)を準備し、自社が1位を取れるように質問を準備していた形跡がみられる場合などには、表示の可否・表示内容に十分留意する必要があります。

本報告書では、No.1に関する留意点のほか、高評価%表示(例「医師の90%が推奨」)についても景品表示法上の留意点が指摘されています。こちらも非常に重要な論点です。
当事務所では、No.1表示を含む景品表示法全般についてのアドバイスを実施しておりますので、具体的な広告表示についてお悩みがある場合には、お問い合わせください。

 

 

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