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≪HBLOコラム≫ 【上場審査に関するFAQ集】グロース市場でも赤字上場できるか?
【上場審査に関するFAQ集】グロース市場でも赤字上場できるか?
こんにちは。信じられないような猛暑に少し翳りが見えてきましたが、まだまだ暑い日が続いています。皆様、体調にはくれぐれも気を付けてください。
さて、少し前ではありますが、2024年5月31日に東京証券取引所が「上場審査に関するFAQ集」(以下「FAQ集」といいます)を公表しています。
このFAQ集は、上場準備を行うスタートアップ経営者向けに、IPO準備にまつわるよくある誤解について、東証として上場審査における考え方を紹介したものです。
今回掲載されているテーマは、以下の4つです。
1 赤字上場
2 上場準備期間におけるM&A
3 予算と実績の乖離について
4 業績予想開示について
本稿では、このうち、グロース市場における赤字上場を取り上げてみたいと思います。
グロース市場でも赤字上場できるか
Q)グロース市場でも黒字化しないと上場できないと聞きましたが、本当でしょうか?
A)赤字上場は可能です。 グロース市場において上場までの黒字化を求める制度はありません。主幹事証券会社が高い成長可能性を有すると評価し、赤字であっても投資家に広く受け入れられると判断した結果、赤字上場を⾏った実績がこれまでにも多く存在します。
参考)赤字上場を行う際に気を付けてほしいこと
赤字でも上場はできますが、自社のビジネスモデルや事業環境、リスク要因等を踏まえ、成長の実現に向けた取組みの効果やコストを、事業計画に合理的に反映させることが必要です。
また、「上場できる」ということと、「投資家に評価される」ということは、また別の話です。
赤字で上場する場合には、投資家が適切に評価を行えるよう、自社の成長可能性やそれを実現するための事業計画については、特に丁寧に開示することを心掛けていただきたいと思います。
「赤字上場は可能です」と言い切っています。
赤字ではグロース市場に上場できない、との思い込みから、黒字化するまで上場を延期するとの判断をしている会社があるかもしれません。しかし、思い切って上場することで認知度が向上した結果、飛躍的に売上が伸びて黒字化できる場合もあります。
このようなケースで、スタートアップ経営者が誤解に惑わされずに、赤字上場を選択肢に入れることができるよと、メッセージを出しているのがこのFAQ集です。
ただし、あくまでも東証の回答は、赤字上場でもグロース市場の上場基準に抵触しないということを述べているにすぎません。いくらの時価総額で上場すべきかについては、東証は指針を示す立場になく、触れられていません。
上場準備会社としては、上場したときのバリューが10億円なのか100億円なのかによって、資金調達や創業者利益の額が大きく変わります。また、赤字上場の企業について投資家が魅力を感じてくれるのか、という問題もあります。
そのような観点での検討も必要になるので、赤字上場は可能だとしても、どのタイミングで進めるのがよいか、主幹事証券会社やコンサル会社ともよく相談して戦略を立てる必要があります。また、進めるとしても事業計画への記載の仕方等で工夫が必要となります。
赤字上場にチャレンジしやすい企業の特徴としては、一言でいえば、成長可能性が高いことだと思います。SaaS型ビジネスのようにストック型の収益モデルで収益構造が安定していることや、規制緩和や政策投資等の外部の成長要因があること等です。
これらを分析して赤字上場を目指すのか、よくご検討いただければと存じます。
今後の改定を注視
今回は、東証のFAQ集を取り上げました。FAQ集は、今後も定期的に更新が行われる予定とのことです。アンテナを張っておき、正しい情報の下で、自社の上場戦略を立てられるようにしましょう。
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